給湯器の寿命(耐用年数)は約10年
給湯器の寿命は一般的に、10年が目安です。具体的な耐用年数は、寿命が早い場合は約7年から8年、反対に寿命が長い場合は約15年と使い続けられることもあります。
家電製品にはそれぞれ、設計標準使用期間というものがメーカーによって定められています。設計標準使用期間は、標準的な使用条件下で製品を安全に使える期間を指します。給湯器の設計標準使用期間は、どのメーカーも約10年と定めています。10年以上経つと不具合が発生する可能性も出てくるため、給湯器の寿命の目安として覚えておきましょう。
給湯器の寿命が近づいている前兆・サイン
給湯器を10年ほど使用していて以下のような状態になってきたら、寿命が近づいているサインかもしれません。それぞれの項目を確認して、給湯器の修理や交換を検討してみましょう。
運転中に異音や大きな音がする
給湯器の寿命が近づいている前兆としてひとつめに挙げられるのが、運転中に異音が鳴る、大きな音がすることです。給湯器は、もともとお湯を沸かすときに音が出ます。しかし今までとは明らかに違う音や小さく破裂するような音、ピーという音が聞こえる場合は寿命による故障が疑われます。
給湯器からこうした音が鳴るのは、換気のバランスが悪くなっていたり空気とガスのバランスが崩れていたりするためです。給湯器からいつもと違う音が出ている場合は、給湯器の交換を考えましょう。
お湯がぬるい・安定しない
給湯器の寿命のサインとしては、お湯が温まらずにぬるいままだったり、温度が安定しなかったりすることも挙げられます。温度が上がったり下がったりする機能の給湯器を使っていない場合で、給湯器から出るお湯の温度が一定でないときは、給湯器が故障している可能性が高いです。
このような場合は、寿命による経年劣化で給湯器内に何らかの問題が発生していると考えられます。我慢できるからといって壊れた給湯器を使い続けていると、発火や火災につながることもあります。給湯器のお湯の温度が安定しないと感じたら、修理や交換をご検討ください。
排気口が錆びている・黒く汚れている
排気口が錆びていたり黒く汚れていたりする場合も、給湯器の寿命が近づいている前兆のひとつです。給湯器の排気には水分が含まれるため、長く使っているとそのぶん排気口の周囲は錆びやすくなります。外から確認して排気口が錆びている場合は、内部にも錆が広がっていることが多いため、給湯器の交換が必要です。
また、排気口が黒く汚れている場合はさらに注意が必要です。排気口から出るのは通常は、水蒸気や水蒸気が混ざった白い煙です。しかし、排気口が黒く汚れている場合は黒い煙が出たということであり、不完全燃焼が起きていることを表します。正常に燃焼できなくなっている状態は非常に危険なため、すぐに給湯器の修理や交換を行いましょう。
給湯器まわりが水漏れしている
給湯器の寿命が近づいているサインには、給湯器のまわりが水漏れしている場合も該当します。給湯器本体やその周辺から水漏れが確認できる場合は、内部の部品が壊れていたり、配線や配管などの接続部分が劣化していたりすることがあります。
給湯器の使用年数が10年未満である場合は、部品の交換や修理が可能です。一方で10年以上経っている場合は、部品の生産が停止していたり修理料金が高くついたりする場合があります。そのため、給湯器の本体そのものを交換するのがおすすめです。
追い焚き機能が使えない
追い焚き機能が使えないことも給湯器の寿命が近づいているサインです。追い焚きを押したはずなのに稼働しない、追い焚きボタンそのものが反応しないときは、寿命により給湯器が壊れてしまっている可能性が高いです。
追い焚き機能が使えない場合は、すぐに給湯器の交換をしましょう。一時的な不具合でそのあとまた使えるようになったとしても、何らかの故障をしている疑いがあります。ある日突然給湯器自体が使えなくなることも考えられるため、寿命のサインを感じたら余裕を持って対応しましょう。
給湯器の故障を防ぎ長持ちさせる工夫
給湯器の内部には水をお湯に変換する熱交換器や、ガスの燃焼を制御する部品など、さまざまなパーツが組み込まれています。これらの部品は寿命とともに正常に動かなくなりますが、給湯器の使い方によっては寿命を長持ちさせることも可能です。以下では給湯器の故障を防ぎ、長持ちさせる工夫を紹介します。
設置場所に障害物を置かない
給湯器の故障を防ぎ長持ちさせるひとつめの工夫は、設置場所に障害物を置かないことです。排気口の近くに障害物を置いていると、排出されたはずの排気が給湯器の給気口から再び入ってしまい不完全燃焼が起こります。
そのため、排気口の近くにものを置いたり、排気口をふさいだりしないように注意しましょう。また給湯器本体の近くにものがあると、それを伝って虫が給湯器内に混入したり、クモが巣をはったりすることもあります。そのため、給湯器の近く自体に障害物を置かないようにしましょう。
長時間使いっぱなしにしない
給湯器の故障を防ぎ長持ちさせるためには、長時間稼働させないこともポイントです。給湯器の寿命は約10年で、時間にすると1日1時間、約3650時間の運転が可能です。
しかし、長時間使いっぱなしにして1日の燃焼時間が増えるとその分給湯器の寿命が短くなるため、お湯が必要なときにだけ使用して給湯器を長持ちさせましょう。
凍結しないようにしておく
給湯器の内部が凍結しないように気をつけることも、故障を防いで寿命を伸ばすために大切です。冬場の寒い時期になると、給湯器の中の水が凍ることがあります。水が凍ると給湯器の内部で膨張破裂して水漏れが起こり故障につながります。
給湯器の凍結を防ぐには、冬場で給湯器を使わないときでも電源を抜かないことが重要です。給湯器の内部には通常は凍結防止ヒーターがついており、内部にたまった水の凍結を防止します。電源を入れておけば作動するため、給湯器を使わないときでも電源は入れたままにしておきましょう。
入浴剤使用時の排水に気を付ける
給湯器の故障を防ぎ長持ちさせる4つめの工夫は、入浴剤を使ったときの排水に気をつけることです。とくに硫黄成分を含んだ入浴剤は、給湯器の配管や熱交換器が腐食するおそれがあるため、使用しないほうがよいでしょう。
入浴剤を使いたいときは、浴槽の底が見える透明感のあるものがおすすめです。炭酸入浴剤は使用可能ですが、追い焚きをするときは発泡が終わってから行いましょう。さらにバスソルトなど塩分の強いものや、乳白色(白濁)のものを使うときは追いだきはせずに使用後はすぐに排水してください。
給湯器の寿命が過ぎても使い続けるリスク
給湯器の寿命が過ぎていても「運転に支障がないから」といって使い続けていると、ある日突然使えなくなったり、火災などの事故が起こったりする危険があります。以下で寿命が過ぎた給湯器を使い続けるリスクを理解して、そのあとの対応につなげましょう。
火災が起こる可能性がある
給湯器の寿命が過ぎたあとも使い続けていると、火災が起こる場合があります。給湯器の内部には通常は安全装置が組み込まれており、不完全燃焼やガス漏れによる火災を防ぐ効果があります。
しかし寿命を迎えた給湯器は、この安全装置が正常に作動しない場合があります。その結果、給湯器の内部で不完全燃焼やガス漏れが起きたときに対策ができず、火災につながってしまいます。このような事態を起こさないためにも、寿命を過ぎた給湯器は交換するのがおすすめです。
異常着火や爆発が起こる可能性がある
給湯器の寿命が過ぎても使い続けると、異常着火や爆発のリスクにつながります。給湯器は内部で水をお湯に温めるため、ゴム管を通してガスが供給されています。ゴム管が寿命による経年劣化などで損傷していると、ガスが漏れて異常着火や爆発が起こります。
ゴム管やそのほかのパーツの劣化は、素人では点検や判別が難しいでしょう。異音がしていないか、ガスの臭いがしないかなど、日々細かな異変を逃さないように注意が必要です。もしガス漏れが疑われる場合は、すぐに給湯器の電源を切って換気をしてください。
ヤケドを起こす可能性がある
給湯器の寿命が過ぎても使い続けていると、ヤケドをする危険があります。寿命が過ぎた給湯器を使っていると、お湯の温度が安定しないことがあります。多くの場合はぬるい水が出てきますが、反対に設定温度以上の熱湯が出てくるケースもあります。意図しないタイミングで熱湯が出てくるとヤケドをしてしまうため、非常に危険です。
また、排気口からの水蒸気でヤケドを負うこともあります。寿命を過ぎた給湯器は動作異常が起こる可能性が高くなるため、早めの交換がおすすめです。
一酸化炭素中毒を起こす可能性がある
給湯器の寿命が過ぎても使い続けるリスクに、一酸化炭素中毒があります。給湯器の排気口にごみが溜まると不完全燃焼が起こり、浴室や家の中にガスが逆流して一酸化炭素中毒が起こる場合があります。
通常なら排気口のまわりを定期的に掃除していれば、一酸化炭素中毒が起こるほどごみが溜まることはありません。しかし、寿命を超えて給湯器を使っていると内部にまでゴミが溜まってしまう可能性があります。一酸化炭素中毒になると最悪死に至るおそれもあるため、注意が必要です。
まとめ
給湯器の耐用年数や交換時期について紹介しました。給湯器の寿命は、10年程度が目安です。給湯器から聞き慣れない音がする、お湯の温度が安定しない、排気口が錆びていたり黒く汚れていたりするなどの異常があれば、それは給湯器を交換するサインです。
上記の問題がなくとも、寿命が過ぎた給湯器の使用はリスクがあるため早めに交換しましょう。
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