寒い時期になると屋内外で使用できる石油ストーブや、暖かい風を送風ファンで放出し、部屋を暖められる石油ファンヒーターが活躍します。石油ストーブは停電時でも使えたり、お湯を沸かしたりできる一方で、シーズン初めからやけどや火災などの事故の発生が報告されている暖房器具です。
この記事では石油ストーブや石油ファンヒーター(以下石油ストーブ)を安全に使うポイントや、主な安全装置や設計について詳しく説明します。
石油ストーブを安全に使うポイント
部屋がすぐに温まり、やかんや鍋を置いてお湯を沸騰させることが可能なモデルもある石油ストーブは便利な暖房器具です。石油ストーブを安全に使うポイントについて、一つずつ説明します。
火を消してから動かす・給油する
使用中に石油ストーブを移動させるときに、火を消さずに移動することは大変危険な行為です。万が一、転倒した際に灯油が漏れたり、近くのものに引火して火災につながったりするおそれがあります。必ず消火してから、石油ストーブは動かしましょう。
また、給油する際も必ず火を消してから行います。給油タンクを取り出す前に消火し、火の気のないところで油量計を確認しながら給油します。
石油ストーブにセットする前に、タンクの蓋がしっかりと閉まっており、灯油の漏れがないかといった確認も必要です。蓋やタンクの外側に灯油が付着した際は、拭きとってから石油ストーブにタンクをセットしましょう。
スプレー缶やガスボンベを近づけない
ガスボンベやヘアスプレー、防水スプレーなどのスプレー缶を石油ストーブの近くに置くと、中身が熱されスプレー缶の中の圧力が上昇、膨張することで破裂や爆発が起こり危険です。
また、スプレー缶に含まれる可燃性ガスにも引火し、火災のおそれがあります。このため、石油ストーブの近くにはスプレー缶やガスボンベを置かないようにしましょう。
燃えるものを近付けない
石油ストーブの近くや上方に燃えるものを置かないようにします。布団やカーテンなどの燃えやすいものが近くにあると、高温になることで発火する危険があります。
また、石油ストーブの上方で洗濯物を乾かすことも危険です。乾いて軽くなった洗濯物が、石油ストーブによる上昇気流で落ちて火災に発展するおそれがあるためです。
厚着して石油ストーブに近づくこともやめましょう。気が付かないうちに服が石油ストーブに触れてしまった場合、溶けたり燃えたりする危険があります。
廃棄時には灯油や乾電池を抜いておく
石油ストーブの廃棄時にはタンクを取り外すだけでなく、ストーブ内に残っている灯油をスポイトなどを使用して、残っている灯油を抜き取る必要があります。
また乾電池が入ったままだと、運搬している際に点火する可能性があるため乾電池も抜いて廃棄してください。
ほこりを取り除いておく
石油ストーブにほこりがたまると空気のとおり道がふさがれ、不完全燃焼を起こし一酸化炭素中毒になる危険があります。さらに、たまったほこりに引火し、火災につながる可能性もあります。
使用前にはほこりを取り除き、使用期間中も1週間に1度は掃除をしてお手入れをすることが大切です。
1時間に1~2回の頻度で換気をする
石油ストーブは室内にある空気中の酸素を燃焼させて温めるため、空気を入れ替えることが必要です。換気せずに使用し続けると室内の酸素が減り、石油ストーブが不完全燃焼を起こします。その結果、一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素は吸い込むと頭痛や吐き気、めまいなどの中毒症状が発生し、最終的には死亡する危険な物質です。このため、石油ストーブを使う際は1時間に1~2回の頻度で換気します。
前シーズンの灯油は使わない
灯油は、劣化します。前シーズンの灯油を石油ストーブに使用すると異常燃焼のおそれや、一酸化炭素の発生を促進する危険もあるため、古い灯油は使わないようにします。
もし、石油ストーブ内に前シーズンの灯油が残っていた場合は、本体とタンクから灯油を取り除けば使用が可能です。古い灯油の処理方法は、灯油を購入したお店に確認してください。
カートリッジタンクの蓋がしまっているかを確認する
石油ストーブにセットする際は蓋が完全にしまっていないと、石油ストーブに灯油がこぼれます。消火直後の石油ストーブはまだ熱く、余熱で引火する事例もあります。
タンクへ給油したあとは、蓋がしっかり閉まっているか確認し、消火されている石油ストーブにセットしましょう。
使用する燃料を間違えない
石油ストーブに使用する燃料は、灯油です。間違えてガソリンなどを入れてしまうと、少量でも火災のおそれがあり危険です。
灯油とガソリンを似た容器で保管しない、ラベルを記載する、保管場所を別にするなどといった対策を施し、誤給油を防ぎましょう。
温風に直接長時間当たらない、やけどに注意する
石油ストーブの温風に長時間あたると、低温やけどや脱水症状を引き起こすおそれがあります。小さい子どもや年配の方、病気の方がいる場合にはとくに注意しましょう。
また、燃焼中だけでなく消火直後も石油ストーブの上面やガード部分は熱い状態です。手を触れるとやけどをする危険があります。高温部には触らないように注意してください。
石油ストーブに付いている主な安全装置と設計
石油ストーブには火災のおそれを減らすため、安全装置が備え付けられている商品があります。主な安全装置と設計について詳しくまとめました。
対震自動消火装置付き
対震自動消火装置は、揺れを感じた場合に自動で消化する装置です。大きな地震で石油ストーブが転倒した際に消化されていれば、火災の危険性を減らせます。
使用前に、対震自動消火装置がしっかりと作動する確認が必要です。本体を揺らしたときに、上がった状態の石油ストーブの芯が下がることで確認できます。
転倒時に灯油がこぼれにくい2重タンク構造
石油ストーブの中には、油タンク内が2重構造になっている商品があります。この2重タンク構造では、給油口から外側のタンクに給油すると細いパイプを通して内側のタンクに給油される仕組みです。
このため、石油ストーブの本体が倒れた際でも灯油がこぼれにくい構造です。
転倒時でもこぼれにくいというメリットがある一方で、このパイプにごみがつまると燃料は十分にあるのに火が途中で消えることがあります。一定時間すると点火できるようになったり、芯を交換しても10分ほどで火が小さくなったりした際は、パイプの清掃が必要です。
給油口からの油漏れを防ぐ火災予防機能
給油口の口金がしっかりしまっていないと、タンクをセットする際に給油口から油が漏れてしまい危険です。横から見た際に浮いたり、印が見えたりしないようにしっかりとしめましょう。
うっかり給油口口金を締め忘れたり、締め方がゆるい場合でも、油をこぼれにくくする火災予防機能付きの石油ストーブだと安心です。
万が一の危険を未然に予防する「こぼれま栓」といった火災予防機能付きのストーブがおすすめです。
まとめ
屋外でも使え、またすぐに部屋を暖めてくれる石油ストーブは寒い時期に活躍します。一方で火災や、やけどの危険があります。このため、正しい手入れ方法と使い方を知ることが必要です。自分の生活にあった石油ストーブを使用して、寒い冬を快適に過ごしましょう。
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