電気自動車(EV)の充電時間はどれくらい?充電時間を短くするコツや走行距離の目安を解説

電気自動車(EV)の充電時間はどれくらい?充電時間を短くするコツや走行距離の目安を解説

ガソリン車から電気自動車EVに乗り換えを検討する際、気になるのが充電についてではないでしょうか。ガソリン車がガソリンを給油するのに数分しかかからないのに比べて、EVの充電は時間がかかると思われる方は多いでしょう。ガソリン車とは大きく異なるので最初は戸惑うかもしれませんが、実際、電気自動車を充電するのにどれくらいかかるものなのでしょうか。 今回は、電気自動車を普通充電と急速充電で充電した場合の充電時間を具体的に解説するほか、短い時間で充電するコツや充電時間を気にせず快適に乗る方法を紹介します。

電気自動車(EV)の充電時間の目安

電気自動車はバッテリー残量が少なくなっている状態から、満タンの少し手前まで充電するとして急速充電で約30分、普通充電の場合は数時間以上かかるといわれています。ガソリン車が燃料を満タンにするには、ガソリンスタンドで3〜5分程度であるとすると、やはり電気自動車の充電には時間がかかると思われるかもしれません。

速さを重視してスピーディに充電したい方は、圧倒的に急速充電が時間は短くてすむためおすすめです。一般的に50kWの出力であることが多く、車種にもよりますが5分間で40km程度なら走行ができます。正確な充電時間は、実際充電する電気量や充電器の出力の量によっても左右されます。

充電時間の計算方法

電気自動車の充電時間は、充電量(kWh)と充電器の出力(kW)から求められます。計算式は以下のとおりですので、充電時間を調べたいときは参考にしてください。

・充電時間(h) = 充電量(kWh) ÷ 充電器の出力(kW)

充電量は、電気自動車に搭載されているバッテリーの容量を指します。充電器の出力はコンセントや普通充電器、EV急速充電の性能によって異なるため注意が必要です。

電気自動車に搭載されているバッテリーの種類により、満タンで充電できる電気の量は異なります。そのため、同じEV充電器で充電したとしても、若干の充電時間の差が生まれる可能性があります。正確な充電時間は、乗りたい車種のカタログやホームページなどを確認しましょう。

普通充電の充電時間の目安

普通充電は3kW〜6kWの出力で充電する方法で、多くが3kWの自宅のコンセントを利用します。一方、普通充電スタンドが備え付けられているコンビニエンスストアのなかには、6kWが設置されているところもあります。

以下に、3kWの普通充電を使用したときと、6kWの普通充電スタンドで充電した場合のそれぞれのバッテリーの充電時間の違いを計算したものがあります。充電時間の目安として参考にしてください。

自宅のコンセントで充電する場合にかかる時間

40kWh ÷ 3kW = 約13時間

60kWh ÷ 3kW = 約20時間

6kWの普通充電スタンドで充電する場合にかかる時間

40kWh ÷ 6kw = 約6.5時間

60kWh ÷ 6kw = 約10時間

急速充電の充電時間の目安

急速充電は名前のとおり、普通充電器よりも圧倒的に短い時間で充電でき高出力なのが特徴です。急速充電の機器は、50kW以上の出力が一般的といわれており、なかには90kWを超える高い出力の急速充電器もあります。

以下は、40kWhのバッテリーを搭載した電気自動車のそれぞれの充電時間です。

【EV急速充電器の充電時間】

20kWの場合:40kWh ÷ 20kW = 約2時間

50kWの場合:40kWh ÷ 50kW = 約0.8時間

90kWの場合:40kWh ÷ 90kW = 約0.4時間

100km走れば、日常に必要な大体の走行はカバーできる可能性が高いでしょう。一般的に急速充電の場合は、5分間でおよそ40km程度の走行が可能と考えられています。そのため、15分ほどの充電で必要な分はまかなえます。車種によって差はありますが、急速充電のおおよその目安にしてください。

電気自動車(EV)の充電時間を気にしないためのポイント

電気自動車の充電は、ガソリン車の給油とは大きく異なります。そもそもの前提が違うという意識を持つことが大切です。ガソリン車が給油する場合、ガソリンスタンドを利用することは必須で自宅で給油することはできません。

その点、電気自動車は充電器を設置してあれば、わざわざ充電スポットまでいく必要がなくなります。自宅でいつでも好きなときに充電できる場合は、充電時間はそれほど気にしなくてすむでしょう。

また、自宅であっても外出先であっても、時間を気にせずに気持ちよく充電するには、たとえば「読書しながら」、「コーヒーを買うついでに」など、何かをしながら、または何か用事をするついで、という時間を活用するのもひとつのコツです。次は、具体的に充電時間を気にしないポイントを解説します。

必ずしも満充電にしなくても良いと覚えておく

ガソリン車の場合、給油のためにガソリンスタンドまで行く必要があります。そのため、わざわざ出かける回数を減らすために、できるだけ1回の給油で満タンにしておきたいと思うのは当然のことでしょう。

一方、電気自動車の場合は自宅のガレージにEV充電設備を設置してあれば、待ち時間なく好きなときに自宅で充電できます。家で充電できる場合は、ガレージに戻るまでのバッテリー残量があればいいということでもあります。必ずしも満タンでなくても自宅に戻れば充電はできるため、その分の充電が残っていればいいという意識を持っておくと、慌てて充電スポットを探さなくてすむでしょう。

夜間に充電しておく

電気料金のプランによっては、深夜の電気代がよりお得になる場合があります。夜に自宅で就寝中に充電すると待ち時間を気にせず、さらに料金もお得に充電できる可能性があります。

EV充電器を自宅に設置することで寝ながら充電が実現できるのが、電気自動車の魅力のひとつでもあります。夜間に出発するのでなければ、心おきなく次の日まで満タンを目指して充電できるでしょう。さらに、太陽光パネルや蓄電池と併用すると、さらに電気料金をおさえながら環境にもやさしい生活を送れるようになります。

急速充電ができる充電スポットの場所を把握しておく

その日計画している走行距離やドライブコース、充電スポットまでの距離などを考慮して、途中SAなどで休憩するついでに充電するのも無駄のない充電方法です。急速充電ができる場所を事前に調べておけば、休憩している30分程度の時間で充電ができます。

ガソリン車の給油と比べると30分は長く感じるかもしれませんが、SAでトイレ休憩とコーヒーを買っているときやレストランなどで軽食をとっている時間など、用事をすませている間に充電は完了します。休憩がてら充電できれば、充電時間はさほど気にならないでしょう。

余裕をもって充電するように心掛ける

電動自動車の場合は、ガソリン車のように「なくなりそうになってから給油する」のではなく、目的地に到着するために必要な電力量よりも少し余裕を持って充電する意識を持ちましょう。外充電を快適に使うには、余力を残してできるときに充電しておくのがコツです。

たとえば、「残量が40%を切ったら最寄りのSAで休憩がてら充電をする」といったように余裕を持って充電しておきます。そうすることで、いざというとき充電スポットが混雑して埋まっていたり、充電器が故障していたりと何かしらのトラブルがあったとしても、安心して次の場所へ移動できます。

とくに、1日長距離ドライブをするようなときは、あらかじめ充電スポットを調べておきましょう。おおまかでも充電計画を立てておくことで、仮に予定の場所で充電ができなかったとしても落ちついて次の対応ができるでしょう。

充電器の出力を6kWタイプにする

自宅での電気自動車の充電は、普通充電が多いです。基本的に電気自動車のバッテリーは、空になるまで使い切ることはほとんどありません。そのため、3kWの充電器でも夜の寝ている時間に充電することも可能です。

ただし、50%充電するのに3kWだと充電に約10時間かかるといわれており、時間は多少かかる印象です。一方、6kWでは出力は2倍、充電スピードは半分ですみます。ひと昔前はまだ3kWが主流でしたが、6kWなら一晩寝ている間に50%の充電ができます。仮に、60kWの大容量の電池を搭載した電気自動車に乗っている場合は、朝までに充電を完了させて出力数が高い充電器を設置したほうがよいでしょう。

V2H機器を設置する

V2Hとは、電気自動車の大容量バッテリーを家庭で有効活用するためのシステムや考え方のことです。たとえば、大容量バッテリーに電気を蓄えておけたり、電気を自宅と電気自動車の間を行き来させたりができるようになります。こうすることで、家庭の電気をより効率よく使えるようになります。

V2H機器とは、EVに搭載されたバッテリーを家庭用の電源として活用できるシステムまたが仕組みを目指しています。V2HにはVehicle to Homeという意味があり、蓄電池の代わりにEVを使用し、家庭における電気を電気自動車に充電するといった使い方ができるのが特徴です。

ただし、ここで注意したいのは、すべてのEVがV2Hに対応しているわけではないということです。導入を検討している方は、対応車種を確認しましょう。

1回の充電での走行距離の目安

航続距離とは、航続1回の充電での走行距離のことを指します。航続距離が長いほど充電の回数は減るため、遠距離はもちろん、長時間のドライブが可能になります。従来の電気自動車のイメージでは、ガソリン車と比べ走行距離が短いと思われていましたが、最近はバッテリー性能が向上し、多くの車種で1回の充電の走行距離は伸びています。

たとえば、1回30分の急速充電では100km〜120km程度走れるといわれています。車種によっては、1回の充電で200km以上の走行が可能ともいわれています。フル充電の場合、1回の充電で走れる距離は短くても250km、長いものだと600km以上走行可能です。

1回の充電で走れる距離は車種により大きく異なりますが、総じて走行距離は伸びているといえます。一般的にバッテリーサイズは、大きくなればなるほど航続距離も伸びていきます。

まとめ

電気自動車の充電には、時間と手間がかかるというイメージも変わりつつあります。ガソリン車から電気自動車へのシフトチェンジは世界的な流れでもあります。その影響から技術開発が進み、1回の充電で走れる距離は年々伸びているといえます。

電気自動車の普及とともに、充電スポットの増加やバッテリーの向上によりこれからもさらなる充電時間の短縮が期待されます。

電気自動車は、ガソリン車の給油に比べるとまだまだ充電に時間はかかりますが、必ずしも充電時間が欠点となるわけではありません。自宅にEV充電器を設置してあれば日常的な充電は自宅でできるため、待ち時間や移動は少なくなります。ドライブやレジャーで長距離を走行する際は、道の駅や高速道路のSAなどの外充電や急速充電を活用することで不自由なく過ごせるでしょう。

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