電気自動車を購入する前のポイントと、自宅に設置する充電設備の設置方法とは

電気自動車を購入する前のポイントと、自宅に設置する充電設備の設置方法とは

これからの時代に注目度の高い電気自動車(EV・PHEV)。乗り換えを検討している方に、運用の仕方がガソリン車とどう変わるかや重要なポイントとなる充電設備の設置方法について解説します。

電気自動車のある暮らしが当たり前に?

地球温暖化により、少しずつ気候変動が起きています。
例えば、極端な気温の変化・ゲリラ豪雨・大型の台風や低気圧の出現・海面の上昇や海水の酸性化などです。
特にゲリラ豪雨や大型台風の出現などは、身近に感じている方もいるのではないでしょうか。

また、化石燃料は限られた資源であるため徐々に枯渇していき、価格もそれに反比例して高騰していくことが予想されます。

そこで、再生可能エネルギーである太陽光や風力を使った発電、そして電気自動車の市場の拡大が見込まれています。

ガソリン代や電気代などのエネルギーの高騰

電気代やガソリン代は、年々高騰してきています。
大手家電メーカーのパナソニックの試算によると、2030年には電気代とガソリン代の合計が約4.3万円上昇するであろうとのことです。

電気代もガソリン代も年々高騰

ガソリン代は、限りある資源である化石燃料を元に作られるため高騰するのは理解できるかと思いますが、電気代もその影響を受けて高騰しまうのはなぜでしょうか。

それは、日本は主に火力発電で発電をしており、その火力発電を行うためには結局、天然ガスや石炭などの化石燃料が必要となるためです。

化石燃料の代替エネルギーとして電力を使うことはよく言われていますが、正確には、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを使った発電でなくてはなりません。

気候変動(地球温暖化)による自然災害への備え

地球温暖化によって気温が上昇すると気候変動も活発化しますので、自然災害によるリスクに備える必要もあります。
最近の事例では、2019年9月に発生した台風15号によって千葉県では約64万戸が停電し、復旧まで17日以上を要しました。
千葉に住んでいる私の親戚も、この時の停電の被害に遭い、苦労していたのを覚えています。

停電によってライフラインが止まり、避難所での生活が始まると、よく眠れなくなったり、トイレに行くにも行列ができたり、当たり前のことすら困難になります。

太陽光発電の普及による電気自動車市場の拡大

そこで注目されているのが、太陽光発電。今後、新築住宅に太陽光発電の搭載率が増加していくことが予想されています。

それに伴い、電気自動車の需要の拡大が見込まれます。
2020年にはEV・PHEV合わせて3万台だったものが、2035年には213万台にまで拡大されていくことが予想されています。

国内EV&PHEV販売台数推移予想

電気自動車購入前に考えておくべき4項目

では、電気自動車を購入する際にはどのようなことに備えておく必要があるのでしょうか。

今まで慣れていた自動車と比べて考慮するべき項目が異なってくるため、ピンと来ない方も多いかもしれません。

充電スポットでかかる充電時間

エネルギーがガソリンから電気に変わることに伴い、その補充も給油から充電に変わります。
多くの方が想像できるかと思われますが、エネルギーを補充する時間が大きく増えることになります。

ガソリンスタンドで給油するのには1、2分程度で終わるのに比べ、充電スポットで充電するのは急速充電を使っても約40〜60分程度の時間が掛かります。

給油&EV充電にかかる時間

ガソリンスタンドで給油する感覚で電気自動車の充電を考えていると、時間が大幅に増えてしまいます。
また、ガソリンスタンドと比べると電気自動車の充電スポットはまだまだ少ないため、お近くに充電スポットがない可能性もあります。

そのため、自宅に充電設備を備えておき、充電スポットで時間を掛けて充電する機会をなるべく減らすようにしておかなくてはなりません。

電力消費量のアップ

しかし、自宅で充電を行うと電気消費量は当然アップしますし、電気消費量が増えれば電気代もアップします。

EV⾛⾏距離(⽉間)430km と仮定した場合、電気消費量はおよそ25%アップするそうです。

ただ、ガソリンを使って同じ距離を走行した場合のガソリン代と比べると費用は安くなりますので、車を運用するためのコスト全体は抑えられると言えるでしょう。

夜間充電時のブレーカー

電気代は、電力がよく使われる昼間が割高になり、反対に夜間は割安になります。
また一般的に車を使うのは昼間の時間帯になるため、夜中に充電するケースが想定されます。

しかし、例えばエコキュートなどを取り入れている家庭では同じくエコキュートの焚き上げも夜間に行っている場合があります。

そうなった場合に夜間の電気使用量が容量オーバーになり、ブレーカーが落ちてしまう可能性があります。

設備の追加工事による費用や住宅の外観の変化

新築でない住宅で後から充電設備を設置すると、設置工事が必要です。
設置工事では分電盤から新しい配線を作ることになりますので、当然ながら費用がかかります。

また、電気自動車の充電設備は屋外に設置するため、配線が外壁に露出したり設備用のスペースが必要になったり、自宅の外観も変化します。

追加工事

EV・PHEVの充電設備を設置する際の2つの配線設計

電気自動車の充電設備には、大きく分けて2つの配線設計があります。

屋外コンセントのみを設置して電気自動車に搭載された充電ケーブルを使って充電するコンセント型と、充電ケーブルを搭載した充電器を設置する充電ケーブル一体型の2つです。

コンセント型

コンセント型は文字通り、EV充電専用のコンセントを設置する配線設計のことです。

コンセントを設置するだけなので、充電用のケーブルは車載のものを利用します。

充電用コンセント&車両の充電口

メリットとしてはコストが安く済むことが挙げられます。
充電ケーブル一体型の充電器が15〜20万円ほどかかるのに対し、コンセント型は数千円程度で買うことができます。

デメリットは、充電時間が掛かることです。
6kwまで出力できる充電ケーブル一体型の充電器と比べて、コンセント型は半分の3kwまでしか出力できません。
よって、充電までの時間も充電ケーブル一体型と比べて2倍かかってしまいます。

また、車載のケーブルを使うので抜き差しや収納の手間もかかります。
ケーブルは3〜4kgの重量がありますので労力を要しますし、電気を通すケーブルのため雨の日などでケーブルが濡れてしまった場合は抵抗を感じる方もいるかもしれません。

コンセント型(充電ケーブル一体型)のおすすめ商品

WK4422S パナソニック EV・PHEV充電用 接地屋外コンセント 露出・埋込両用 15A・20A兼用 200V用 ホワイトシルバー

WK4422S パナソニック EV・PHEV充電用 接地屋外コンセント 露出・埋込両用 15A・20A兼用 200V用 ホワイトシルバー

充電中のケーブルのいたずらを防止するEV・PHEV充電用カバー付屋外コンセント。保護カバーを閉め、簡易鍵を施錠してケーブルへのいたずら防止ができます。200V用/カラーはホワイトシルバーです。

商品を見る

WK4322S パナソニック EV・PHEV充電用 接地屋外コンセント 露出・埋込両用 15A・20A兼用 200V用 ホワイトシルバー

WK4322S パナソニック EV・PHEV充電用 接地屋外コンセント 露出・埋込両用 15A・20A兼用 200V用 ホワイトシルバー

EV・PHEV充電用 15A・20A兼用接地屋外コンセント

商品を見る

充電ケーブル一体型

充電ケーブル一体型は、充電器と充電ケーブルが一体型になっているタイプです。
充電器とケーブルを繋ぐのに抜き差しが必要でない分安全で、その理由によって6kwまでの出力が可能です。
身近な家電で例えると、600wの電子レンジの10倍ですから、かなりの大容量ですよね。

充電設備&車両の充電口

ケーブルが充電器側に付いているため、持ち運びをする必要もありません。

デメリットとしては、コンセント型と比べて価格が高いことです。
数千円程度で買えるコンセント型に対し、充電ケーブル一体型は15〜20万円ほどのコストになります。

充電ケーブル一体型のおすすめ商品

DNH326 パナソニック EV・PHEV充電用 充電器 電気自動車用充電器

DNH326 パナソニック EV・PHEV充電用 充電器 電気自動車用充電器

【パナソニック】6kW標準タイプの電気自動車用充電器。補助金対象商品です。

商品を見る

SEC-AS 河村電器産業 EV・PHEV充電用 充電器 電気自動車用充電器 wayEV シングルモデル

SEC-AS 河村電器産業 EV・PHEV充電用 充電器 電気自動車用充電器 wayEV シングルモデル

【河村電器産業】6kW標準タイプのEV・PHEV充電用充電器

商品を見る

DNC321K パナソニック EV・PHEV充電用 充電ボックス 電気自動車用充電器 標準型

DNC321K パナソニック EV・PHEV充電用 充電ボックス 電気自動車用充電器 標準型

【パナソニック】3kW標準タイプの電気自動車用充電器。補助金対象商品です。

商品を見る

充電ケーブル収納ボックスを使うのもあり

一般的には、EVの充電にはコンセント型か充電ケーブル一体型のどちらかを選びますが、もう一つ「充電ケーブル収納ボックス」を導入する選択肢もあります。

コンセントが付くため、大別すればコンセント型に近いことになるのですが、車載ケーブルを収納し、施錠できるボックスになっています。

コンセント型の充電器では車載ケーブルを持ち運びする手間が掛かるデメリットがありますが、
こちらは車載ケーブルをこのボックスを使って収納し、施錠しておけるため、手間がかかるという面を解消することが可能です。

ただし、あくまでコンセントを利用しますので、充電時間はかかってしまうのが難点です。

充電ケーブル収納ボックスのおすすめ商品

ECPW 河村電器産業 EV普通充電用電気設備 EVコンポ プライム

ECPW 河村電器産業 EV普通充電用電気設備 EVコンポ プライム

キー付きキャビネットで充電中も施錠ができて安心。補助金対象商品です。

商品を見る

参考ホームページ

関連記事

電気自動車(EV)の充電時間はどれくらい?充電時間を短くするコツや走行距離の目安を解説

電気自動車(EV)の充電時間はどれくらい?充電時間を短くするコツや走行距離の目安を解説

ガソリン車から電気自動車EVに乗り換えを検討する際、気になるのが充電についてではないでしょうか。ガソリン車がガソリンを給油するのに数分しかかからないのに比べて、EVの充電は時間がかかると思われる方は多いでしょう。ガソリン車とは大きく異なるので最初は戸惑うかもしれませんが、実際、電気自動車を充電するのにどれくらいかかるものなのでしょうか。 今回は、電気自動車を普通充電と急速充電で充電した場合の充電時間を具体的に解説するほか、短い時間で充電するコツや充電時間を気にせず快適に乗る方法を紹介します。

マンションにEV充電器を設置する方法と知っておくべき問題点

マンションにEV充電器を設置する方法と知っておくべき問題点

いざ、マンションにEV充電器を設置しようと思っても、まず何から始めたらよいのかわからないという方は多いでしょう。今回は、マンション・アパートへのEV充電器の設置方法を紹介するとともに、その際に発生すると考えられる問題点について解説します。 あらかじめ知っているのといないのでは、実際導入するときに大きな差となります。知っておくべきポイントを理解することで、スムーズに導入することが可能です。EV充電器の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

どっちがお得?電気自動車(EV)とガソリン車を比較

どっちがお得?電気自動車(EV)とガソリン車を比較

電気自動車(EV)の開発と実用化が、日本を含め世界的に進められています。二酸化炭素を排出しないためガソリン車よりも環境に優しいことから、電気自動車へ乗り換えを検討される方も少なくないでしょう。 この記事では、電気自動車とガソリン車の維持費や初期費用を比較し、どちらがお得になるかについて解説します。

EV・HV・PHV・FCVの違いとは?知っておきたい4種の電気自動車の種類

EV・HV・PHV・FCVの違いとは?知っておきたい4種の電気自動車の種類

地球環境に優しいエコな自動車であるEV(電気自動車)は、国内外問わず多くの自動車メーカーが開発をおこない、普及が進んでいます。EVにもさまざまな種類があるため、「買い換えを検討しているけれど、どのような違いがあるのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。 この記事では、EV・HV・PHV・FCVのそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて紹介します。

EV・PHEV充電用コンセントとは?メリットや設置前の注意点を解説

EV・PHEV充電用コンセントとは?メリットや設置前の注意点を解説

近年、電気自動車(EV)の普及と高ガソリン価格で、多くの人が購入を考えています。自宅での充電は大きな利点ですが、充電器の種類や設置に関する問題もあります。この記事では、家庭用EV充電器の特徴、設置のメリット・デメリットと注意点を解説します。